| 小説習作【二つの指紋】Page2
(昨日からの続き) 鑑識へのこの要請は社長、社員らにも聞こえてしまったようで、林田が転落した原因について皆ヒソヒソと勘繰り合った。 それを察知した井上は「もう宜しいですか」と藤岡に確認し、聞き取りをした社長、社員らにお礼を言って、お引き取り頂いて結構ですと告げた。去り際に刈谷が振り向いて「林田さんは自殺したんじゃないですか?」と聞いたが、井上はまだ捜査段階でお答えできませんと紋切型で退出を促した。
「何か怪しいと?」 藤岡の元に戻った井上が問う。藤岡は井上を部屋の隅に誘い、小声でこう答えた。 「林田さんの御遺体から指紋を取る様指示してくれ。井上君も気付いてるかな、これ自殺にしちゃあ不自然なこと多いよね。怪し過ぎるよ」 老練刑事の勘ってやつなのかな、井上はそんな印象を受けながらも、確かにこれは自殺と判断するには疑問もあった。 この飛び降りにくい場所をわざわざ選ぶというのは不自然ではないか。 訝し気に無言で頷く井上に、やや笑みを浮かべて藤岡が囁いた。 「これからあの脇腹を怪我した男、追っていくよ」
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藤岡、井上両名の「この死亡事件は殺人の可能性を含んでいる」との報告により、すぐさま捜査本部が立ち上がった。 といってもそれは極小規模なもので、一応県警本部から班長として一人の警部補が着任したが、捜査員は藤岡、井上のみの合計3名であった。 これは藤岡の進言によるもので、彼はそれだけこの案件の早期解決に自信があったものとみられる。
21日水曜日、詳細な検死結果と鑑識結果が報告された。
「転落により絶命したことには変わりはないが、気になる痕跡も色々あるね。」 書類をくまなく読み込みながら、藤岡は井上が淹れたお茶を一口飲んでそう話し掛けた。 脇に立つ井上も、藤岡が持つ結果報告書に視線を落とし、それに呼応する。 「林田さんは上下スーツを着て靴を履いたまま落下、着地の際の擦れた破れ目等はあったものの着衣に乱れなし…ですか。争って落ちたんじゃないってことでしょうか?」 「いや、ここを見てごらん。足首とふくらはぎにわずかに痣が残ってたそうだ。ほら、こんな付き方してる」 「机の角に激しくぶつけた様な痣、これは足首に、そしてふくらはぎには他人に掴まれた様な痣。だとすると…」 「そうだよ。林田さんがどう転落したか十分想像出来るだろ?それにね」 藤岡は鑑識結果の書面を指でなぞりながら、得意そうに言う。 「林田さんの指紋は窓枠にはなく、ストッカーの天板に多数ついていた、とある。」 「ストッカーに上らなければ窓から飛び降りれない訳ですから、それは自然かと…」 「井上君、よく読みなさい。指紋はいずれも左右両手分ついており、全ての指先は部屋の内側に向かっている…」 「あっ窓に背を向けた状態だった、ということ?」 「そうだ。しかもほら、ストッカーの上部ヘリには指先が下に向かっての指紋の跡がある。背中から落ちそうになった時ヘリを掴んで抵抗したとも考えられる」
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「例の“脇腹負傷男”ですが」 26日月曜日、藤岡を助手席に乗せて、井上が車を運転している。当日脇腹を怪我したと言っていた刈谷はその後病院に行き、大事を取って一日自宅療養したのち、以降は通常通り出社、二人の刑事はさっそくアポを取って、これから男に会いに行くところだ。その後の調べで、事件当日夜、メディア・デザインには林田と刈谷の二人が入室、30分後に刈谷が退出した後は誰も出入りしていないということが監視カメラの映像で確認されていた。 井上が続ける。 「名を刈谷直樹と言いまして、年齢は29歳、収入はそこそこ悪くはないんですがゲーム好きが災いしてギャンブルにハマり…」 「それで林田さんに借金かね?…」と藤岡、頷く井上はさらに続けて「林田さんの手帳に記録されていまして、額は十数万円なので大したことはないのですが、どうもそれだけじゃないようで」 井上は意味ありげな表情で説明する。 「刈谷直樹は一度闇バイトに手を染めてます。林田さんにばかり迷惑は掛けられない、と思ったんでしょうね」 藤岡は残念そうに眉を寄せて「それはどこ情報?」と井上に聞く。 「思い余って刈谷自らが林田さんに告白した模様です。林田さんの手帳に記されてました」
林田は年下の刈谷について弟の様な感情を持っていた。刈谷への借金は半ば不問のつもりでいた。闇バイトの件を刈谷から告白された時も、通報よりも自首を望んでいた。例の日もその説得のために林田が刈谷を呼び出しており、万が一その場を誰かから目撃されたら、二人で残業したのだと誤魔化せる、そうした刈谷への気遣いで会社のオフィスを選んだのだ。 約束ごと、事象事柄とともに自身の心情も記されていた林田の手帳は、そんな経緯を十分に推察出来るほど克明であった。
「親の心子知らず…か。林田さんを殺害したのはまず刈谷で間違いない。でもなんかやり切れないなあ…」 車窓に視線を写しため息をつく藤岡に、井上は同意する様に深く頷いた。 (明日に続く) |
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| 小説習作【二つの指紋】Page1 (詳細は12月2日付け『正直日記』参照)
19日月曜日午後10時02分、15階建てオフィスビル12階にある会社『メディア・デザイン』の窓から男性が転落、同ビル1階のコンビニエンスストア店員が発見し人が倒れてると通報、すぐに救急隊と警察が駆け付け現場検証が行われた。 「たった今救急から連絡がきました。残念ながら亡くなられたとのことです。遺書らしきものは発見されてないそうです」 若い刑事が、歩道に立って一つだけ開いた窓を見上げている藤岡に話し掛けた。窓には大きく社名が書かれてあった。 「君は?」 「あ、ご挨拶が遅れました。本件で藤岡さんに付く様にと仰せつかりました井上です。」 四十も半ばを過ぎた藤岡は凝った首を叩きながら視線を戻し、恐らく自分よりも十は若いだろうと思われる井上に「ご苦労様」と頭を下げた。 井上はやや緊張した面持ちで説明する。 「亡くなられた方、身元はすぐに判明しました。あの窓の会社メディア・デザインにお勤めの林田圭介さん、年齢は31歳、昨晩は他の社員の皆さんに“残業する、集中したいから一人にして欲しい”と仰ってたそうです」 「そういうことは良くあるの?」 「いえ、林田さんはデザイン制作ではなく営業でしたので普段はほとんど残業などなく、社員さん達は“今考えると変と言えば変だった”と仰ってました。」 「ん?今社員さんたちが上に居るの?」 「警備員さんが社長さんに連絡されて、社員さんが何人か集まってました。藤岡さんも聞き取りされるかと思い一応お引止めしておきました」
藤岡と井上がオフィスまで来ると、メディア・デザイン社長以下男女合わせて4名が残っており、せわしなく動く鑑識の所業を呆然と見つめていた。 藤岡は4名と挨拶を交わし、井上は林田圭介が亡くなったことを告げ、二人は揃って彼が転落したとみられる窓の前に立った。 「これは…やはり自殺でしょうか」 井上がそう判断したくなるのも無理はない。 床から窓の底辺までの高さは身長170の井上が立ってほぼ腰の高さだったが、窓の下には書類整理のための低いストッカーが置いてあり、天板の高さは窓の底辺と同じ、つまり窓から落ちるためには一旦そのストッカーに乗らないと不可能、そんな状態だったのである。
「これは普段からここに置いてありましたか?」 ストッカーを指さして藤岡が訪ねる。 「はい。以前からそこに置いてありました。」 すぐ近くに居た20代と思しき女子社員が藤岡に応対する。林田が亡くなったと告げられ、目を潤ませている。 「心中お察しいたします。お気を落とされてるところ申し訳ありません。」 藤岡は女子社員に気遣いつつ、確認しておきたいこととして質問を続けた。 「お部屋をお掃除する際は当然このストッカーも…」 「…そうです。窓を開けるとホコリも入りますので毎朝拭き掃除します」 「ということは今朝も一度ここを拭かれた?」 「はい。」 何かを観察する様にストッカーを見つめる藤岡を見て、女子社員も捜査協力への気持ちが動いたのか、「余計なことかも知れませんが」と断ったのち、 「そういえば林田さん、窓を背にしてよくそこにもたれかかってました」 そう告げた。
「ここによくもたれてた?」 藤岡はそれが気になったのか、詳しく聞くように井上に目配せして、窓を背に実際にストッカーに寄り掛かってみたり窓周辺の天井を見つめたりした。 代わって井上が黒表紙の手帳を広げて聞き取りを続ける。 「すみません、どの様な様子で林田さんはこちらに?」 「林田さんは刈谷さん…あの方ですけど、刈谷さんと仲が良くて、窓際のこの席に座った刈谷さんと、よく二人で話されてました」 女子社員が指す方を見ると、林田圭介と同じ年頃の男性社員がおり、社長に何か話し掛けられていた。
「刈谷君、明日は休んで良いから、病院に行ってきなさい」 社長に促されたその男性社員は左腕を上着の内側に入れ脇腹辺りを大きく撫でながら頭を下げていた。
「刈谷さん、どうかされましたか?」 ふと気になった藤岡が思わず尋ねた。 刈谷が応える。 「あ、いえ、急いでここに来る際に転んでしまいまして、縁石の角で脇腹を…。どうも肋骨にヒビが入ったようで」 「それはいけませんね。どうぞお大事に」 右脇腹をかばう様に左手を回しているその箇所を、藤岡は覗くように数秒見つめて、そう労った。
何気ない会話であったが、藤岡はふいに何事かを思い付き、鑑識の一人に歩み寄ってこう告げた。 「すみませんが窓枠とこのストッカーの見える面全て、指紋調べておいて下さい。詳細をご報告頂けると助かります」 鑑識員は頼もしい笑みを返し、藤岡に軽く会釈した。 (明日に続く) |
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| 危険を察知する感性
僕は中学2年生ん時に、どうしても習いたかった空手を通信教育で学んでたんだけども、 ホント都合の良いことに、実家から徒歩で5分の所に大きくてキレイな緑地公園があったんで、 僕は朝な夕なに道着に着替えてそこまでマラソンをして、「ここは僕の道場だ」と決め込んだ場所でせっせと稽古してたんだよね。
後になって同好会を結成することになんだけども、 ホント通信教育を学び始めの初期の初期、とてつもなく鉄棒が上手い、若いお兄さんと出会いました。
なんせ僕は、当時まだ珍しい道着姿でそこに居んので、まあまあ目立ってたらしく、 「空手やってるの?」「一人で練習してるの?」など、知らない人からよく声を掛けられました。 “鉄棒兄さん”はそん中の一人で、僕の“一人道場”の近くには手を伸ばしてやっと届くくらいの鉄棒があんので、 ある日「君は空手かぁ僕はこんなこと出来るんだよ」みたいな感じで声を掛けられ、 両手を伸ばしてぐるんぐるん回る、所謂“大車輪”を披露してくれました。
その光景は単純に「すげー」の一言だったんで僕は素直に「凄いですね」と感嘆、なんとな〜くそのお兄さんに良いイメージを持ちました。 お兄さんは今思うと作業着の様な恰好をしており、その後何回か同じ場所で会ってその度に“大車輪”を見せてくれたんだけども、 かと言って鉄棒を練習しに来てるってな感じじゃなく、 僕は空手を稽古しに来てる、お兄さんは遊びに来てんのかな、みたいな感覚で僕は認識してました。
20代くらいの、静かな物言いをする、優しそうなお兄さんでした。
そのお兄さんも毎週大体同じ時間、同じ場所に居る僕を認識したんか、それから何度も顔を合わせる様になりました。 名前や素性こそ知んないけども、例えばどっかのお店で会ったら区別がつくな、そんくらいの頻度だったんだよね。
さて、んなある日。 僕は、ある友達の家に行く時はそこを通るという、塀と塀に挟まれた狭い道を歩いてたんだけども、 なんと向かいから、例の鉄棒兄さんが歩いて来ました。 これは、今ちゃんと考えても、恐らく偶然だったんだと思います。偶然だったからこそ、次の展開になったんじゃないか、 んな風に想像します。
「あれ?お兄さん?」 声を掛けたんは僕の方からでした。 「ああ。」 相変わらず静かな物言い、あんま表情を変えずにしゃべる鉄棒兄さんは、んな雰囲気なれどもちょっと僕を引き留める感じでした。 僕が、今から何処其処に行く、など言わなかったからか、 「珍しいもの、見たい?」そう言って、お兄さんの自宅に一緒に行こうと僕を誘いました。
既に何度も顔を合わせてる、いつも優しい感じだし、鉄棒をやらせればカッコ良い、 僕は、友達との約束さえなきゃ行っても良いかな、くらいに思いました。珍しいものってのもちょっと興味を引きます。
「俺ん家にさ、ブルーフィルムがあるんだよ。見たくない?」 ブルーフィルム?フィルムっちゃー8mmフィルムのことかしら?お兄さん家には映写機とフィルムがあって、自宅で映画が観られんのかな? んなことを思い浮べながらお兄さんを見ると、いつもは無表情ぽいお兄さんが、唇の端にやや笑みを浮かべてました。
因みに、ブルーフィルムってのは今で言うアダルトビデオ、アダルトDVDのことで、僕も随分大人になってからその存在を知りました。 (後になって鉄工所に勤めた時、スケベオヤジから教わった記憶があります) でも中学生の僕はブルーフィルムが何たるかなんて全く知らず、ただただ「珍しいもんがあんなら見てみたい」ってな気持ち、 でも約束があるしなあ…ってことで迷ってただけでした。
ただ、今思い出しても「あん時の俺よくやった」と褒めてあげたいんだけども、 僕はそん時のお兄さんの、微妙にいつもと違う雰囲気を無意識に感じ取り、何故だかは解んないけどもどこか怪しい、 これは多分着いて行かない方が良いんじゃないかみたいなホントに微妙な怪しさを感じ、約束があるからとその場を後にしました。
お兄さん自身が良い人か悪い人かは確定出来ないけども、 少なくとも、怪しいフィルムを中学生男子に見せようとする、否、自宅に誘おうとするってのはやっぱ危険で、 興味を示しつつも最終的にはなんとな〜くのいかがわしさを感じて断った、そん時の自分の感覚に感謝したいと思います。 僕は一人だったし、空手をやってるとはいえまだ数ヶ月、それにお兄さんは大車輪を決める様な筋力の持ち主だし、 到底僕の非力では対応出来なかったと思います。
疑っちゃ申し訳ないけども、もしかしたら何かされてたかも知んない、最悪殺されてたかも知んないと思うと、 やっぱ危険を察知する感覚?感性?って必要だなあと思います。 それも、部屋に入ってからじゃもう遅いんで、出来るだけ早く察知出来る、何なら知り合った段階で疑える感覚、 この危険な時代に於いては、そういう能力は身に付けるべきだなあと思います。
この出来事を最後に、お兄さんは僕の前には現れなくなりました。 もしかしたら場所を変えて、誰か他の子供を誘ったりしてたかも知れません。 子供好きな優しそうなお兄さんだったんで複雑な心境だったけども、危険な目に遭わなかったんは良かったなあと思います。
んじゃまた明日! |
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| 嗚呼ギミックボール!
僕が小学生の頃、一緒に暮らしてたおばあちゃんはまだ健足で、 毎月21日に開催される覚王山日泰寺弘法様の日、それが日曜日と重なると家族総出でその縁日に出掛けたりしてて、 それはそれは膨大に並ぶ出店あちこちに寄って、おばあちゃんと母親は着物や洋服を見たり買ったり、 1本50円(安!)の串カツを立ち食いよろしくガツガツ食べたり、今でも思い出に残る楽しいイベントでした。
小学生低学年だった僕は、弘法大使様にお祈りするとか全く興味がなかったんだけども、 人混みが嫌いなのになんで着いて行ったかっていうと、 山田家では珍しく、その縁日に着いていくとかなりの確率で何かしらのおもちゃを買ってもらえる、 んな天国にも上るよーな嬉しい“お約束”があったからなんだよね。
各関節が自由に動くミラーマンの人形、同じくファイヤーマンの人形(←今思うとファイヤーマンは結構マニアック)、 GIジョーに着せる革ジャン、持たせる武器、新しいGIジョーの本体、僕にとってこの覚王山の縁日はまたとないお宝ゲットの日となり、 そこで何を買ってもらったかが今でも思い出せる程、嬉しくて嬉しくて仕方がない大イベントでした。
ある時、ブリキで出来た“コインを乗せるとガイコツの手が出てそれを中に落とす”ってな貯金箱を買ってもらって、 僕はもうそれが嬉しくて面白くて、何回も何回も100円玉を置いてはガイコツに入れてもらう、んな遊びを繰り返してました。
 これこれこれ〜っ。 因みに頭蓋骨と手は蛍光塗料が塗ってあり、暗いところで光ります。
何度も繰り返しゃあ、さぞかしお金も貯まるだろうと思われると思うけども、 入れたお金の取り出し口は簡単に開けられんので、入れては出しての繰り返し、僕にとっては貯金箱ではなくただのおもちゃでした。
さてそのガイコツの貯金箱、散々遊んでそろそろ飽きて来たある日、 僕はそれと同じ商品が漫画雑誌の裏広告に出てんのを見つけました。今や懐かしい、あの“王様のアイデア”の広告です。
王様のアイデアってのは今で言うオモシログッズ、パーティーグッズを売るお店で、 店舗もあったけども、雑誌の広告から注文して商品が買えるという、ネット販売みたいなシステムもありました。 広告には僕が買ってもらった貯金箱の他に、 ブーブークッション、笑い袋、宇宙ゴマ(ずっと回り続ける)、マジックグッズなど、子供が目を輝かせるアイテムがたっくさん載ってました。
「ん?」
妖怪のマスク、面白鼻メガネなど見た目ですぐに理解出来る商品も多い中、 僕は“あ〜ら不思議、くねくね転がる変なボール”─んな感じのうたい文句で紹介されてる、赤・青・黄のボールがあんのを見つけました。 説明文を読むと、そのボールはどんなに上手く転がしても絶対に真っすぐには転がらない、くねくね曲がって面白い、 んなことが書いてありました。
僕ってのは既に小学低学年の頃からひねくれ坊主だったんでしょーな、 僕はそのボールが欲しいんじゃなく、どうしてボールが真っすぐ転がらない…ばかりか、くねくね曲がって行くんか、その理屈が気になって、 そっからはもう、ふと気付くと「どーしてなのだっどーしてボールがくねくねすんのだっ」と考えており、 商品はいらない、ただその種明かしをして欲しいと、んなことある訳ないのに漫画雑誌を見つけてはその広告を凝視してました。
で、このお話のオチです。
数年後、山田家の隣に、おもちゃを一杯買ってもらえるという、僕より2〜3歳下の男の子が引っ越して来ました。 その子のおもちゃ箱には、山田家では考えらんないくらいの目いっぱいのおもちゃが入っており、 ほぼそれ目当てで遊びに行ってた僕は、 ある時そのおもちゃ箱の底の方に、あの“あ〜ら不思議”なくねくねボールが埋まってんのを見つけました。
青・赤・黄の三色が揃ったそのボール、実物は発泡スチロールのボールにフェルトが貼ってあるというチープな出来で、 どの色だったか、三つの内一つが完全に割れて、空洞になってる中身が見える状態となってました。 つまり、どういう理屈でボールがくねくね転がんのか、今いよいよ判明する、んな瞬間を迎えたんであります。
「こ、これはっ」
あれだけ解明したかった謎、でも知ってみると何のこたーない、 空洞になった発泡スチロールの内側にパチンコ玉がひとつセロテープで貼り付けてある、ただそんだけのシロモノでした。 つまり、そのボールを転がすと重りが働いて真っすぐ転がんない、そーゆー理屈です。
絶望的に肩を落とした僕は、さらに絶望することになりました。 一応うたい文句の“くねくね”をこの目で見たいと、まだ壊れてないボールをそっと転がしてみたんであります。
「くねくねぢゃな〜いっ」
僕が転がしたそのボールは、不格好にぶるぶる震えながらも、普通に真っすぐ転がって行くだけで、何の面白味もありませんでした。
大人の世界の闇の一旦を垣間見た気がした、小学生時代の悲しいお話です。
んじゃまた明日! |
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| 皆さんはどう思われますでしょうか
僕は「うっかりお金を使い過ぎちゃいました」ってのを防ぐために、 毎月の収入を一括りにすんじゃなく、光熱費は幾ら、食費は幾ら、と必要な経費を細かく分類して専用封筒に入れ、 その月は絶対にそっからしか使わない、と決めてお金を使ってんだけども、 食費同様、月に必要な飲料水も額が決めてあり、大体毎月それで賄いながら生活してんだよね。
僕は持病の関係から、ある症状になるととんでもない量の水分を欲することがあり(そん時の量についてはドクターストップはなし)、 具体的には毎月1.5〜2リットル×6本入りのケースを、無糖コーラとお茶を合わせて6ケースは必要で、 ために月初めに予めそれ専用の額をストック、そっから隔週でケース買いしてく、んなシステムとなってんのであります。
少なくとも2年以上はそのシステムで飲料水を購入してんので、 無糖コーラとお茶のケースそれぞれを1ケースずつ買うと値段は幾らってのはもう把握しており、 今日は帰りにコーラとお茶買って来なきゃって日は、ストックから2ケース分の代金を出して財布に入れておく、 んな習慣が常となってました。
で先日、んなことがありました。
いつものお店でいつもの様に、2リットルのお茶と1.5リットルの無糖コーラを1ケースずつ買おうとした僕は、 お茶1ケースとコーラ6本をカゴに載せてレジへと進みました。 (コーラはある時からケース陳列されなくなり、面倒なんで僕は自前の段ボールを持って行くことにしています。無糖コーラの箱です)
店員さんがレジを打つと、何故かいつもより300円くらい安く表示されました。 僕は2ケース合計分の金額は把握してるし、何よりその分のお金をストックから出して持って来てんのですぐに気付き、 「えっと…、値段が安いと思うんですが…」と店員さんに申告しました。
僕は直後に「そうか、お茶のケースを入れてないんだな」と思い「あの、こっちもあるんですが」といったんだけども、 店員さんも「はい、そうですよね」とお茶のケースも込みでの値段だと主張、 どっちかっていうと店員さんの方が「多分間違ってないと思いますが…」みたいな雰囲気となりました。
この時点で既に、僕の後ろには人が並んでるし、レジを済ませるって意味ではちょっと時間が掛かってる、 ん〜苦手なシチュエーションだなあと焦りつつも、僕は一計を案じ、偶然その金額を入れてた封筒に貼ってある過去のレシートを示し、 僕の方が正しいと思いますってのをアピールしました。
因みに、自前の箱も無糖コーラの箱なんで、その箱のバーコードを使う方もいれば、僕が商品棚から取ったコーラ1本×6とする人も居る、 もしやそのせいもあんのかなと、それも店員さんに言って、店員さんも色々試行錯誤してたその時です。
「んもうっ、あなたの方が安く済むんだからそれで良いんじゃないの?」 結構な時間を使ってる僕に業を煮やしたおばさんが、やや半ギレな感じでそう忠告して来ました。 それは結構な声量で、違う列に並んでる方々も一斉に僕を見ました。
皆さんもご承知の様に、僕はただでさえ小心者の人見知り、こーゆー場面は超・超苦手、まさに“穴があったら入りたい”状態でした。 ただ、かと言って「300円ラッキー!」とは思えません。同じ商品を同じ数買ってんので値段は同じ、上下したとしても300円は大き過ぎます。
件のおばさんはキレて「あっちに行くっ」と言って別のレジに並ぶ、店員さんと僕はどうして300円の差が出たのと追及する、 何だか店員さんも、ことの真相を知るまではみたいな感じになって来ました。で、やっとその原因が判明しました。
「あ、私ずっと“水”って言ってましたね」
そうなんです。 僕は、お茶2リットル×6本を購入してんだけども、店員さんはそれを水2リットル×6本としてレジを打ってて、 その差額で300円安く表示されてたってことでした。 まあ、この件に関しては僕の方が絶対的な自信があったんで食い下がったんだけども、 もしそうじゃなかったら、多少いつもより安い気がするなあと思っても、そのままその金額を支払って帰りそうだなとも思いました。
で、僕はふと思ったんだけども、 レジの打ち間違えでこちらが安く済むとはいえ、300円って結構な値段じゃないの? ていうか、それは10円でも1円でも気付いたら言わなきゃ犯罪でしょ? 僕はそう思うんだよね。
ていうんも、僕にキレてたおばさん、完全に「そのくらいでいちいち言うな」感があって、 少なくともそのおばさんにとっては、僕の方が悪いことしてそうな、お前がガタガタ言うせいでレジが遅れてる的な雰囲気で、 僕の方がすみませんって言っちゃったんだよね。 よくよく考えたらおばさんの方が良くない考えなんじゃないのって思うんであります。
僕は以前、コンビニで50円多くおつりをもらったことがあって、それも数日後返しに行ったし、とにかく不正は嫌、きちんとしたいんだよね。 あー駐車場アルバイトで「兄ちゃん、おつりはあげるよ」って言われた数百円、これもお気持ちだけとお返ししたこともありました。
僕がくそ真面目過ぎんのかなあ…。 「山田さんは真面目だから…」なんて、ややあきれ顔で言われることたまにあんだけども、 そういう時「自分の方がおかしいんかなあ」なんてたま〜に思うことあんだよね。世間の感覚からズレてるっていうか何と言うか…。
皆さんならどうされますか。 後ろに人が並んでる、キレてクレームまで言われる、300円くらいいっかって思いますか。
僕にとっては300円は大きな金額なんですけども。
んじゃまた明日! |
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